総合型選抜・農学部(探究学習で調べた地元の獣害対策から)
私が目指すのは、獣害に悩む中山間地域で、農家が自分たちの手で被害を減らし続けられる仕組みをつくることです。野生動物の生態と地域の合意形成を併せて学ぶため、貴学農学部を志望いたします。私の住む地区では、収穫前のサツマイモ畑がイノシシに掘り返される被害が毎年続いています。高校2年の総合的な探究の時間にこの問題を取り上げ、農家12軒に聞き取りを行いました。9軒が電気柵を設置しているものの、被害が減ったと答えたのは2軒だけです。農家の方と柵を見て回ると、雑草が電線に触れて電気が弱まった箇所や、畑の境目で途切れた箇所が見つかりました。足りないのは柵の数ではなく、維持管理と、隣り合う畑どうしの連携です。そこで3軒の協力を得て、見回りと草刈りを当番制にする試みを2か月続けました。柵の下を掘られた跡は減りましたが、体力的に当番に加われない世帯もあり、決まりをつくるだけでは続かないことも分かりました。イノシシはなぜこの地区の畑を選ぶのか、地域全体で対策を続けるには何が必要なのか。この二つの疑問は、高校の学習だけでは確かめられませんでした。貴学農学部の『野生動物管理学実習』では、センサーカメラで集落に現れる動物の経路を調べます。さらに〇〇教授は、集落ぐるみの獣害対策が定着する条件を、住民への調査から研究されています。動物の行動と人の合意形成という二つの疑問に応える学びがそろう点が、貴学を選んだ理由です。入学後は1年次に生態学と統計学の基礎を学び、2年次の実習でカメラの設置から映像の分析までを経験いたします。卒業研究では〇〇教授の指導のもと、耕作放棄地の分布と出没地点の関係を明らかにする計画です。探究で見た途切れた柵は、道具より先に人の仕組みを整える必要を教えてくれました。農家が自分たちの手で被害を減らし続けられる仕組みを、生態学と地域研究の両面から形にしたいと考えております。
800字・総合型選抜(農学部)
この例文のポイント
- 探究の経過は聞き取り12軒、当番制の試行2か月と要点だけを数字で示し、詳しい記録は活動報告書に任せる書き方です。字数の多くを、残った疑問と学部の学びを結ぶ部分に使っています。
- 試みがうまくいかなかった点まで書き、「決まりをつくるだけでは続かない」という気づきを示しています。成功談で終わらないため、面接で掘り下げられても話が崩れません。
- 動物の行動と人の合意形成という二つの疑問を、実習と研究室にそれぞれ対応させています。書き出しの目標を締めで言い直し、全体を一つの問題に向けてまとめています。