法学部の志望理由書

法学部の志望理由書の書き方と例文3本

法学部の志望理由書では、身近な出来事を「ルールの問題」として捉え、法学で何を考えたいのかを示すことが求められます。このページでは、法学部が志望理由書で見る3つのポイント、法律学科・政治学科を想定した例文3本(800字・600字・400字)、ありがちなNG例と書き直し例、志望するきっかけの見つけ方をまとめました。弁護士志望の人だけでなく、公務員や企業の法務を目指す人にも使える内容です。

法学部の志望理由書を3ステップで書く

  1. 1.法学部の志望理由書は、契約や校則など身近な出来事を「ルールの問題」として見直し、自分の問いを1つ立てるところから書き始めます。
  2. 2.法学部を選ぶ理由は、法曹・公務員・企業の法務などの進路と、関わりたい問題が憲法・民法・労働法などのどの分野に当たるかで説明します。
  3. 3.志望理由書の後半は、志望校の演習や教員の研究分野を2つ挙げ、基本科目からゼミへ進む学びの順序を書いて、冒頭の問いに戻って締めます。

このページが向いている人:法学部の法律学科・政治学科を、総合型選抜・学校推薦型選抜・一般選抜で受ける高校生に向けたページです。志望するきっかけをうまく言葉にできない人、弁護士以外の進路を考えている人、書いた志望理由書が「正義感」や「憧れ」だけで終わっていないか確かめたい人に役立ちます。

法学部の志望理由書で見られる3つのこと

法学部の志望理由書で読まれるのは、法律の知識の量ではなく、社会の出来事を決まりの問題として考える姿勢です。次の3点を押さえると、どの学部にも出せる文章から、法学部に向けた文章に変わります。

01

身近な出来事を「ルールの問題」として捉えているか

法学は条文を暗記する学問ではなく、対立する利害をどう調整し、決まりをどう解釈するかを考える学問です。そのため、きっかけの出来事から「なぜこの決まりはこうなっているのか」「この決まりは誰を守っているのか」という問いを引き出せているかが見られます。アルバイトの契約、祖父母が受けた電話での勧誘、通学で使う自転車の交通ルールなど、題材は身近なもので十分です。困っている人を見た体験なら、その人を困らせている決まりや制度まで掘り下げて書いてください。

02

目指す進路と、学びたい法分野が対応しているか

志望理由書に書く進路は、弁護士・裁判官・検察官の法曹に限らず、公務員や企業の法務でも構いません。どの進路を書く場合も、関わりたい問題がどの法分野に当たるかを示すと、法学部を選んだ理由がはっきりします。契約や家族の問題なら民法、働き方なら労働法、行政の仕組みなら行政法、人権なら憲法、犯罪と刑罰なら刑法、国と国との決まりなら国際法が入り口です。政治学科なら、選挙や政策が決まる過程を扱う政治学が軸になります。下の例文3本も、弁護士・市役所の職員・企業の人事と、進路を変えて書いています。

03

入学後の学びを、基本科目からゼミまで順に描けているか

多くの法学部では、1〜2年次に憲法・民法・刑法などの基本科目を学び、学年が上がるにつれて演習やゼミで判例を読み、議論する比重が増えます。志望理由書でもこの順序に沿って、どの基本科目を土台に、どのゼミで何を考えたいかを書くと、カリキュラムを調べたことが伝わります。模擬裁判の授業や、法曹を目指す学生向けの法曹コースを設けている大学もありますが、有無や内容は大学ごとに異なるため、シラバスや募集要項で確かめてから書いてください。

法学部の志望理由書 例文3本

法律学科・政治学科を志望する高校生を想定し、消費者トラブル、18歳選挙権と模擬選挙、アルバイトの着替えの時間を題材にした例文です。3本とも志望理由書の敬体で書き、大学を指す語は「貴学」にそろえています。

1

法律学科・総合型選抜(18歳になった姉の契約トラブルから)

800字・総合型選抜(法律学科)
私は将来、消費者問題に取り組む弁護士として、契約の知識を持たないまま大人になった若者を法の側から支えたいと考えております。そのために民法と消費者法を学びたく、貴学法学部法律学科を志望いたします。きっかけは高校2年の冬、18歳になったばかりの姉が、SNSで知り合った人の勧めで約30万円の副業講座を契約したことです。「毎月必ず元が取れる」と言われたのに、中身は短い動画が数本で、返金も断られました。姉と消費生活センターを訪ねると、未成年が親の同意なく結んだ契約は原則として取り消せるが、18歳の姉にはその手段がないと説明されました。2022年4月の成年年齢の引き下げが、わが家の問題になった瞬間でした。それでも、もうけを「必ず」と断定する勧誘で結んだ契約は消費者契約法で取り消せる場合があると教わり、業者に書面を送ると代金の半額が戻りました。契約は守るべきだという原則と、経験の浅い消費者の保護を、法律はどう両立させているのか。この疑問を探究学習で取り上げ、同学年105人にアンケートを取ると、未成年者取消権を知る人は1割に届きませんでした。学年集会で結果を伝えましたが、知識だけで勧誘を断れるとは限らず、制度の支えも要ると感じております。貴学を選んだのは、2年次の『△△演習』で消費者契約の裁判例を読み、契約の自由と消費者保護の線引きを議論できるからです。〇〇教授が若年者の契約被害を研究されている点も、探究で残った疑問に直結します。入学後は1年次に民法総則と憲法を学び、2年次から契約法と消費者法に重点を置きます。3年次からは〇〇教授のゼミで、18歳・19歳の契約被害を防ぐ制度を研究したいと考えております。姉が失った15万円は、知識と制度の両方があれば守れたかもしれません。契約の知識を持たないまま大人になった若者を法の側から支えるため、貴学法学部で学びたいと考えております。

※ 上記は例文です(790字)。教授名・授業名・エピソードはご自身の情報に書き換えてください。

この例文のポイント

  • 姉の契約で未成年者取消権が使えなかった場面から、18歳という年齢の線で守られ方が変わる決まりの問題を見つけています。
  • 契約は守るべきだという原則と消費者の保護という対立を問いに据えており、法学部で学ぶ理由が一文で伝わります。
  • 105人へのアンケートで知識だけでは足りないと確かめ、制度の側から支えるという目標と締めにつなげています。
2

政治学科・学校推薦型選抜(生徒会で企画した模擬選挙から)

600字・学校推薦型選抜(政治学科)
私は将来、市役所の職員として選挙管理や主権者教育に携わり、若い世代が政治を自分の問題として考えられる場をつくりたいと考えております。そのために政治学と憲法を学びたく、貴学法学部政治学科を志望いたします。生徒会副会長だった高校2年の秋、市の選挙管理委員会の出前授業を利用して、全校での模擬選挙を企画しました。当初は実際の市長選挙を扱う予定でしたが、特定の候補者の支持につながりかねないとして、架空の候補者に替えました。投票率は78%でしたが、公約を比べて選んだ生徒は事後のアンケートで3割ほどでした。現実の争点を避けたためではないかと考え、教育基本法を読みました。同法は学校に特定の政党を支持・反対する政治教育を禁じる一方、良識ある公民として必要な政治的教養は教育上尊重すべきだとしています。18歳で投票する私たちにとって、中立を守ることと現実の政治を学ぶことはどう両立できるのか。3年生では、駅前再開発をめぐる市議会の賛否両論を資料にまとめて討論会を開き、答えを探っています。貴学を志望するのは、『△△演習』で各国の主権者教育を比較でき、〇〇教授が若者の政治参加を研究されているからです。入学後は政治学原論と憲法を学び、3年次から〇〇教授のゼミで政治的中立と主権者教育の両立を研究する計画です。若い世代が政治を自分の問題として考えられる場を行政の側からつくるため、貴学で学びたいと考えております。

※ 上記は例文です(598字)。教授名・授業名・エピソードはご自身の情報に書き換えてください。

この例文のポイント

  • 模擬選挙で現実の争点を避けた経験を、教育基本法の二つの定めの間にある問いへと発展させています。
  • 投票率78%と、公約で選んだ生徒が3割ほどという数字で、活動の成果と課題を両方示しています。
  • 市役所の職員という法曹以外の進路と、政治学科で学ぶ内容が、主権者教育という一つのテーマでつながっています。
3

法律学科・一般選抜(アルバイト先の着替えの時間から)

400字・一般選抜(法律学科)
私は将来、企業の人事部門で、働く人と会社の双方が納得できる労務管理に携わりたいと考え、労働法を学ぶため貴学法学部を志望いたします。きっかけは、高校2年から続けている飲食店のアルバイトです。店では着替えた後に出勤を記録するため、着替えの約10分には時給が付いていませんでした。調べると、着用を義務付けられた制服に店内で着替える時間は労働時間として扱うと、厚生労働省のガイドラインにありました。店長に伝えると、翌月から着替える前に記録する形に改まりました。決まりは、知られて初めて守られるのだと実感いたしました。貴学を選んだのは、『△△演習』で労働紛争の裁判例を労使双方の立場から検討できるからです。入学後は民法と労働法の基礎を固め、3年次から〇〇教授のゼミでアルバイトの労働時間管理を研究いたします。働く人と会社の双方が納得できる職場を法の側から支えるため、貴学で学びたいと考えております。

※ 上記は例文です(394字)。教授名・授業名・エピソードはご自身の情報に書き換えてください。

この例文のポイント

  • 着替えの約10分という小さな事実から、何が労働時間に当たるかという労働法の論点にたどり着いています。
  • ガイドラインで確かめて店長に伝え、記録の仕方が改まるまでを、400字の中で短く書き切っています。
  • 企業の人事という進路を示し、会社と働く人の双方の立場から学びたいという姿勢が一貫しています。

法学部の志望理由書でよくあるNG

NG

「正義感が強いから」「困っている人を助けたい」で終わっている

正義感や人を助けたい気持ちは大切ですが、それだけでは医療・福祉・教育の学部にもそのまま出せる志望理由になります。法学部に出すなら、目の前の人が困っている原因を、決まりや制度の側から説明する一歩が必要です。

書き直し例

「困っている人を助けたい」で止めず、「SNSで中傷された友人が投稿を消してもらえずにいるのを見て、表現の自由と名誉を守ることの線引きを調べ始めました」のように、困りごとの原因にある決まりまで書きます。

NG

法廷ドラマの弁護士への憧れだけを書いている

ドラマや映画をきっかけにするのは構いません。ただ、憧れだけでは実際の仕事を調べていないと読まれます。弁護士の仕事の多くは、法廷の外での相談や交渉、書面の作成です。憧れの先で自分が確かめたことを書いてください。

書き直し例

「ドラマの弁護士に憧れました」で終わらせず、「ドラマをきっかけに民事裁判を傍聴し、期日が書面の確認だけで数分で終わったことに驚いて、争いを書面で整理する仕組みを学びたいと考えました」のように続けます。

NG

条文や法律用語を並べるだけで、自分の問いがない

条文番号や専門用語をいくつ書いても、大学が知りたいのは知識の量ではなく、その知識を手がかりに何を考えたかです。意味を説明しきれない用語は、面接で掘り下げられたときに答えに詰まる原因にもなります。

書き直し例

条文の引用を重ねる代わりに、「生活保護は原則として本人や家族の申請で始まると知り、制度を知らない人はどうやって支援にたどり着くのかと疑問を持ちました」のように、知識から生まれた問いを書きます。

NG

社会問題への賛否を主張する意見文になっている

死刑制度の存廃のように意見が分かれるテーマで、自分の結論だけを強く主張すると、志望理由書ではなく意見文として読まれます。法学部が見たいのは結論の正しさより、反対の立場の言い分を理解したうえで考えを深めようとする姿勢です。

書き直し例

「死刑は廃止すべきです」と言い切る代わりに、「刑罰を罪への報いと見るか、立ち直りを促すものと見るかで結論が分かれると知り、刑法の考え方を学んでから自分の答えを出したいと考えております」と書きます。

NG

「法学部はつぶしがきく」など、消極的な理由で選んでいる

法学部は進路の幅が広いと言われますが、「つぶしがきく」「どの業界にも行ける」を理由にすると、学びたいことがまだないと受け取られます。進路が一つに決まっていなくても、法学で何を考えたいかは書けます。

書き直し例

「進路の選択肢を広く残せるから」ではなく、「仕事を一つに決めてはいませんが、どの職場でも契約や働き方の決まりを自分で読み解ける力が要ると考え、民法と労働法を学びたいと考えております」と書きます。

よくある質問

Q. 弁護士を目指していなくても法学部を志望できますか?

志望できます。決まりを読み解き、対立する言い分を整理して結論を導く力は、法曹以外の仕事でも生きます。法学部の卒業生は公務員や民間企業に進む人が多く、企業では法務・人事・総務などの部門で法学の知識が使われます。志望理由書に職業名を無理に書く必要はありませんが、法学の力をどんな問題に使いたいかは示してください。進路が未定なら、関心のある問題と、それを扱う法分野を挙げれば目標として伝わります。

Q. 法学部を志望するきっかけが思いつかないときはどうすればいいですか?

大きな事件や特別な体験は要りません。まず、ここ数年のうちに身の回りで変わった決まりを思い出してください。成年年齢の引き下げや、部活動の休養日、スマートフォンの持ち込みに関する校則の変更などがあれば、なぜ変わったのか、誰が得をして誰が困るのかを考えるだけで問いになります。地方裁判所で裁判を傍聴するのも一つの方法です。多くの裁判は予約なしで傍聴でき、刑事裁判では検察官と弁護人のやり取りや被告人の話を法廷で直接聞けます。

Q. 法律学科と政治学科で志望理由書の書き方は変わりますか?

構成は同じですが、問いの向きが変わります。法律学科では、ある決まりがどう解釈され、当事者の利害をどう調整しているかという、個々の紛争や制度に向かう問いが中心です。政治学科では、その決まりが誰によってどんな過程で作られ、人々にどう受け止められているかという、選挙や政策、行政に向かう問いが中心になります。政治学を法学部で学ぶ大学と、別の学部で学ぶ大学があるため、募集要項で学科の位置づけも確認してください。

Q. 面接で法学部を選んだ理由を聞かれたらどう答えますか?

志望理由書に書いた「ルールの問題」を30秒ほどで話せるようにしたうえで、他の学部ではなく法学部を選んだ理由を一言で言えるようにしておきます。同じ消費者トラブルでも、経済学なら市場の仕組みから、社会学なら人と人の関係から考えます。決まりを解釈し、当事者の利害を調整する方法を学びたいので法学部を選んだ、と説明できれば違いが伝わります。自分と反対の立場の言い分も一度書き出しておくと、掘り下げた質問にも落ち着いて答えられます。

法学部の志望理由書の下書きを、AIで無料作成

学部名を入れた状態で作成ツールが開きます。目標・きっかけ・志望校の魅力を入力し、下書きを自分の体験で書き直して仕上げてください。

法学部の志望理由書を下書きする