社会学部・社会福祉学部の志望理由書

社会学部・社会福祉学部の志望理由書の書き方と例文3本

社会学部・社会福祉学部の志望理由書で問われるのは、関心のある社会問題を、自分で確かめた事実と、大学で深めたい問いに結びつけられているかどうかです。ここでは、志望理由書で見られる3つのポイントを社会学と社会福祉学の違いに沿って整理し、社会学科(800字)・社会福祉学科(600字)・メディア社会学科(400字)の例文を紹介します。「人の役に立ちたい」で終わる書き方をどう直すかも、NG例と書き直し例で示しました。家族の介護体験をどこまで書くか、福祉の仕事に就くと決めていなくても志望できるかについては、後半のよくある質問で取り上げています。

社会学部・社会福祉学部の志望理由書を3ステップで書く

  1. 1
    社会学部・社会福祉学部の志望理由書は、家庭・学校・地域で気になった出来事を1つ選び、何人に尋ねて何が分かったかなど、自分で確かめた事実から書き始めます。
  2. 2
    その出来事の原因を調べたいなら社会学科、困りごとを抱える人の支え方を学びたいなら社会福祉学科というように、問いの向きから学科を選んだ理由を説明します。
  3. 3
    後半は、基礎の授業から演習・実習、卒業論文へと進む入学後の学びを順に書き、目指す進路を示してから、冒頭の出来事に戻って締めます。

このページが向いている人:社会学部・社会福祉学部や、社会学部の中の社会福祉学科・メディア社会学科などを目指す高校生のためのページです。総合型選抜や学校推薦型選抜に向けて準備している人も、一般選抜の出願で志望理由書が必要になった人も参考にできます。「社会問題に興味がある」の先が書けない人、社会学と社会福祉学のどちらに進むか迷っている人、社会福祉士や精神保健福祉士を目指す理由を言葉にしたい人、家族の介護体験をどこまで書いてよいか悩んでいる人に役立ちます。

社会学部・社会福祉学部の志望理由書で見られる3つのこと

社会学部・社会福祉学部の志望理由書では、関心のある社会問題の名前よりも、その問題について「なぜ起きるのか」を調べたいのか、「困っている人をどう支えるのか」を学びたいのかという、問いの向きが重視されます。次の3点は、社会学科・社会福祉学科・メディア社会学科など、どの学科を目指す場合にも押さえておきたい観点です。

  1. 一

    社会学と社会福祉学のどちらを学びたいのか、問いの形で示せているか

    社会学は、家族・地域・メディア・働き方などを対象に、アンケートや聞き取りで集めた事実や統計のデータを分析し、社会の仕組みや人々の行動の傾向を明らかにする学問です。社会福祉学は、暮らしに困りごとを抱える人を支える方法と制度を学ぶ学問で、社会福祉士や精神保健福祉士といった国家資格にもつながります。自分の関心が「なぜそうなっているのか」を調べる問いなら社会学、「困っている人をどう支え、どの支援につなぐのか」という問いなら社会福祉学が入り口です。社会学部の中に社会福祉学科を置く大学もあるため、志望する学科がどちらの学びを中心にしているかを、カリキュラムで確かめてください。

  2. 二

    体験を、自分で数えた事実と、当事者の声で裏づけているか

    「社会問題に関心がある」という一文は、誰の志望理由書にも書けてしまいます。身近な出来事について、何人に尋ねて何人がどう答えたか、何を観察して何に気づいたかといった、自分の手で確かめた事実を書いてください。社会学科なら数字の偏りから「なぜ」を立てる力が、社会福祉学科なら困りごとを抱える本人や家族の声に耳を傾ける姿勢が伝わります。友人や家族、地域の方に話を聞いたときは、名前や個人が特定できる情報を書かないことも、社会を調べる人に欠かせない配慮です。

  3. 三

    入学後の学びと、資格・進路とのつながりを順に描けているか

    社会学科では多くの場合、社会学の基礎と社会調査の方法を学んだあと、統計の授業や調査の実習を経て、ゼミで卒業論文に取り組みます。所定の授業を修めると、一般社団法人社会調査協会が認定する「社会調査士」の資格を取得できる大学もあります。社会福祉学科では、社会福祉の制度やソーシャルワークの方法を学び、演習で相談の技術を練習してから、福祉の現場でのソーシャルワーク実習に臨みます。4年制大学で、この実習を含め、国が資格ごとに定めた指定科目を修めて卒業すると、社会福祉士や精神保健福祉士の国家試験の受験資格が得られます。資格課程を履修できる人数に上限を設けている大学もあるため、募集要項や学部案内で確かめましょう。

社会学部・社会福祉学部の志望理由書 例文3本

社会学科はクラスで取った家事分担のアンケート、社会福祉学科は祖母の退院と地域包括支援センターでの相談、メディア社会学科は文化祭の来場者に告知の経路を尋ねた調査を題材にしています。3本とも、です・ます調の敬体で書き、志望する大学を「貴学」と呼んでいます。

1

社会学科・総合型選抜(クラスで取った家事分担のアンケートから)

794 字

私は将来、自治体の職員として、共働きの家庭が家事や育児を分け合える施策をつくることを目指しています。その土台として社会調査の方法と家族社会学を学ぶため、貴学社会学部社会学科を志望いたします。きっかけは、高校2年の家庭科の授業で家事の分担を調べたことです。先生の許可を得てクラスで無記名のアンケートを取ると、36人分の回答のうち共働きの家庭は24家庭で、そのうち19家庭では平日の夕食を主に母親が作っていました。初めは父親の帰宅が遅いためだと考え、父親が午後7時までに帰る9家庭だけを取り出しましたが、そのうち7家庭でも母親が作っていました。帰宅時間だけでは説明できない偏りがあるのです。家族社会学の本を読み、家事の分担は家庭ごとの話し合いで決まるように見えて、職場の慣行や「家事は女性の仕事」という考え方にも左右されると知りました。一人ひとりの選択に見えることの背後には、社会の仕組みがあるのではないか。ただ、母親の勤務時間は尋ねていないため、短時間勤務の人が多かっただけという可能性も残ります。36人の結果は一つのクラスの傾向にすぎず、確かなことを言うには調査の設計から学ぶ必要があると痛感しました。貴学を選んだのは、3年次の『△△実習』で、調査の企画から質問紙の作成、集計と分析、報告書の執筆までを1年かけて経験できるからです。さらに、共働き世帯の家事分担と働き方の関係を研究されている〇〇教授のもとで、問いを深められると考えました。入学後は1年次に社会学と社会調査の基礎を学び、2年次に統計の手法を身につけます。4年次には〇〇教授のゼミで、地域の共働き世帯を対象に調査を行い、家事の分担を左右する条件を卒業論文で明らかにしたいと考えております。36人のアンケートで見えた偏りを、確かな調査で社会の仕組みとして説明できるようになるため、貴学社会学部社会学科で学びたいと考えております。

800字・総合型選抜(社会学科)

この例文のポイント

  • クラス36人の無記名アンケートから、共働きの24家庭のうち19家庭で母親が夕食を作っているという偏りを、数字で示しています。
  • 父親の帰宅時間で家庭を分けて比べ、自分の仮説では説明できないと確かめた過程を書き、社会学の調べ方を体験として伝えています。
  • 母親の勤務時間を尋ねなかったという調査の限界を自分で挙げ、実習で調査の設計から学びたい理由につなげています。
2

社会福祉学科・学校推薦型選抜(祖母の退院と地域包括支援センターでの相談から)

598 字

私は将来、地域包括支援センターの社会福祉士として、相談先を知らずに困っている高齢の方を支援につなげたいと考えております。そのためにソーシャルワークを学びたく、貴学社会福祉学部社会福祉学科を志望いたします。高校1年の冬、一人暮らしの祖母が転んで入院し、退院後の暮らしに家族が迷っていたとき、市役所で紹介されたのが地域包括支援センターでした。担当の社会福祉士の方は、家族の都合を聞く前に、まず祖母に「これからどう暮らしたいか」を尋ねてくださいました。そのうえで介護保険の申請を手伝い、通いのサービスを組み合わせてくださったおかげで、祖母は今も自宅で暮らしています。ただ、私たち家族はそれまでセンターを知りませんでした。高校2年からボランティア部で通う高齢者サロンで、参加者28人に尋ねると、センターを知っていたのは11人でした。サロンに通える方でさえこの割合なら、家にこもりがちな方にはさらに届いていないはずです。相談を待つだけでなく、支援が必要な人をどう見つけ、つなげればよいのか。貴学を志望するのは、『△△演習』で相談面接を繰り返し練習でき、〇〇教授が高齢者の孤立を防ぐ見守りを研究されているからです。実習では、地域へ出向いて支援を届ける方法を学ぶことが目標です。祖母の希望を最初に聞いてくださった方のように、本人の声から支援を組み立てる社会福祉士を目指し、貴学で学びを深めたいと考えております。

600字・学校推薦型選抜(社会福祉学科)

この例文のポイント

  • 祖母の入院という家族の出来事を、病状ではなく、社会福祉士の方が本人の希望から支援を組み立てた場面に絞って書いています。
  • サロンの参加者28人中11人という聞き取りの結果から、支援が必要な人に相談先が知られていないという課題を示しています。
  • 高校2年から続けるボランティア部の活動を、演習・実習で学びたいことや将来の職場につなげ、学校推薦型選抜で重視される活動の継続性を伝えています。
3

メディア社会学科・一般選抜(文化祭の来場者に告知の経路を尋ねた調査から)

396 字

私は将来、地域の新聞社の記者として、どの世代にも情報が届く伝え方を考えたいと思い、貴学社会学部メディア社会学科を志望いたします。きっかけは、文化祭の広報係として、来場者に告知を何で知ったかを尋ねたことです。回答した186人を年代別に集計すると、10代は72人中58人がSNSで知った一方、60代以上でSNSを挙げたのは41人中4人で、多くは駅の掲示や家族からの誘いでした。同じ告知でも、媒体によって届く相手が分かれていたのです。メディアの違いが、情報を受け取れる人とそうでない人を分けているのではないか。貴学では『△△演習』で調査票の作成から分析までを自ら行え、〇〇教授が世代による情報の受け取り方の差を研究されています。入学後は社会調査とメディア論を学び、行政の情報が世代ごとにどう届くかを卒業論文で調べます。文化祭で見えた情報の分かれ目を越える伝え方を、貴学で探究したいと考えております。

400字・一般選抜(メディア社会学科)

この例文のポイント

  • 来場者186人の回答を年代別に集計し、10代と60代以上で告知を知った経路が大きく分かれた結果を、人数で示しています。
  • 広報係としての体験を、媒体の違いが情報を受け取れる人を分けているという、メディア社会学で扱う問いに言い換えています。
  • 短い字数の中でも、調査の結果と問い、演習で身につけたい力、卒業論文のテーマを順に書き、メディア社会学科を選ぶ理由を残しています。

※ 上記は例文です。教授名・授業名・エピソードはご自身の情報に書き換えてください。

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社会学部・社会福祉学部の志望理由書でよくあるNG

一NG

「社会問題に興味がある」で止まっている

社会問題への関心は、社会学部や社会福祉学部を志望する出発点として自然です。ただ、「格差」「少子高齢化」のように問題の名前を挙げるだけでは、あなたがその問題のどこを見て、何を知りたいのかが伝わりません。身近な場面で自分が確かめたことと、そこから生まれた問いまで書いてください。

書き直し例

「少子高齢化に興味があります」で止めず、「通学に使う路線バスが減便され、同じバス停を使う近所の方に話を聞くと、車を手放した方ほど買い物に出る回数を減らしていました。交通の縮小が高齢の方の暮らしをどう変えるのかを調べたいと考えております」と、自分が聞き取った事実から問いを導きます。

二NG

「人の役に立ちたい」「困っている人を助けたい」だけを書いている

支える仕事を志す気持ちは大切ですが、この言葉は看護・教育・心理など多くの学部の志望理由書にも当てはまります。社会福祉学部では、誰の、どんな困りごとを、どのような方法で支えたいのかが問われます。気持ちの強さを重ねるより、支援の場面で自分が見たことを書いてください。

書き直し例

「人の役に立ちたい」ではなく、「学習支援のボランティアで、宿題が手につかない小学生が、家で幼いきょうだいの世話をしていると知りました。子どもの学びを家庭の事情ごと支えるスクールソーシャルワーカーを目指し、支援の方法を学びたいと考えております」のように、支えたい相手と方法を具体的にします。

三NG

ニュースや本の受け売りで字数を埋めている

「孤独・孤立が社会問題になっている」「ジェンダー平等が求められている」といった一般論や全国の統計の引用は、誰が書いても同じ文章になります。社会学部・社会福祉学部では、他人がまとめた結論よりも、自分で調べ、考えた過程が評価されます。ニュースを入り口にするなら、そこから自分が何を確かめたのかを書きます。

書き直し例

「高齢者の孤立が深刻だと報道されています」と書く代わりに、「地域の清掃活動で団地の住民12人に話を聞くと、近所に顔見知りが5人以上いると答えたのは、住んで10年以上の方ばかりでした」のように、自分で見聞きした事実から書き起こします。

四NG

社会学と社会福祉学のどちらを学びたいのかがぼやけている

社会学科の志望理由書を「困っている人を支えたい」で結ぶと、読み手は社会福祉学科のほうが合うのではないかと考えます。逆に、社会福祉学科で「社会の構造を分析したい」とだけ書けば、支援の方法を学ぶ理由が伝わりません。両方に関心があってもかまいませんが、軸はどちらか一方に置き、もう一方は補う位置づけにします。

書き直し例

社会学科なら「相談窓口を知らない人がなぜ多いのかを、住民への調査で明らかにしたい」、社会福祉学科なら「相談窓口を知らない人に、どう支援を届けるかを学びたい」のように、同じ関心でも学科に合わせて問いの向きを変えます。

五NG

資格の名前や「安定した仕事」を志望理由の中心にしている

社会福祉士の資格を取りたいという目標は書いてかまいませんが、資格名だけでは、その資格で何をしたいのかが伝わりません。社会学部でも「公務員になりやすそう」といった理由を中心に置くと、学びたい内容が見えなくなります。資格や進路は、学びの先にある手段として書きます。

書き直し例

「社会福祉士の資格を取りたいから」ではなく、「職場体験で訪れた病院の相談室で、退院を控えた患者さんの不安を聞き、地域の支援につなぐ医療ソーシャルワーカーの仕事を知りました。この仕事に就くために、社会福祉士の資格を取得したいと考えております」のように、資格で果たしたい役割を先に書きます。

よくある質問

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