医療系学部の志望理由書

医療系学部の志望理由書の書き方と例文3本

医療系学部の志望理由書では、「人の役に立ちたい」という思いを、どの職種として、誰のどんな困りごとに生かしたいのかまで書けているかが問われます。このページでは、理学療法・作業療法・薬学・管理栄養・臨床検査の各学科に共通する3つの観点と、理学療法学科(800字)・薬学科(600字)・臨床検査技術学科(400字)の例文を紹介し、「安定した資格職だから」などの評価されにくい書き方の直し方もまとめました。理学療法士と作業療法士の書き分け方や、薬学部の6年制と4年制の違いは、ページ後半の「よくある質問」で取り上げています。

医療系学部の志望理由書を3ステップで書く

  1. 1
    医療系学部の志望理由書は、家族の通院や自分のけが、ボランティアなどで医療職の仕事を間近に見た場面を1つ選び、その専門職が何をしていたかという観察から書き始めます。
  2. 2
    学科を選んだ理由は、医師や看護師ではなく、なぜその職種を目指すのかを、選んだ場面で見た専門職の役割をもとに説明します。
  3. 3
    志望理由書の後半は、基礎医学、学内の実習、病院などでの実習、国家試験と進む養成課程の順に学びの計画を書き、最初の場面で出会った患者や家族に戻って締めます。

このページが向いている人:理学療法学科・作業療法学科・薬学科・管理栄養学科・臨床検査技術学科など、医療系の国家資格につながる学科を目指す高校生のためのページです。学校推薦型選抜や総合型選抜で出願する人に加え、一般選抜で志望理由書が課される人も対象にしています。「人の役に立ちたい」の先が書けない人、理学療法士と作業療法士のどちらを目指すか迷っている人、家族の病気やけがの体験をどこまで書くか悩んでいる人、面接で「なぜ医師ではないのか」と聞かれたときの答えを用意したい人に役立ちます。看護学部・看護学科の志望理由書は、別のページで扱っています。

医療系学部の志望理由書で見られる3つのこと

医療系学部の多くは、特定の国家資格を持つ医療職を育てる学科です。そのため志望理由書では、医療への関心の強さよりも、どの職種を目指し、その仕事と学び方をどこまで理解しているかが見られます。次の3点は、理学療法・作業療法・薬学・管理栄養・臨床検査のどの学科にも共通する観点です。

  1. 一

    医師や看護師ではなく、なぜその職種なのかを説明できているか

    病院では、医師や看護師のほかにも多くの専門職が、一人の患者を分担して支えています。理学療法士は寝返り・起き上がり・立ち上がり・歩行といった基本的な動作の回復を受け持ち、作業療法士は着替えや料理、仕事など、その人らしい生活に必要な動作を、心の健康への支援も含めて取り戻せるよう関わります。薬剤師は処方の内容を確かめて薬を安全に使えるよう説明し、臨床検査技師は血液・尿などの検体や心電図・超音波の検査で診断の材料をそろえ、管理栄養士は病状に合わせて食事と栄養を整えます。志望理由書では、自分が見た場面の中で、どの専門職のどんな仕事に目が留まったのかを示し、ほかの職種ではなくその職種を選んだ理由を書いてください。

  2. 二

    国家試験までの養成課程と、実習の流れを理解しているか

    医療系の学科は、卒業すると国家試験の受験資格が得られるように科目が組まれた養成課程です。多くの大学では、1〜2年次に解剖学・生理学などの基礎医学を学び、学内の実習で技術を身につけてから、病院や薬局などの現場に出る実習に進み、最終学年で国家試験に臨みます。現場での実習は、理学療法・作業療法では臨床実習、臨床検査・管理栄養では臨地実習、薬学では実務実習と呼ばれます。実習の時期や期間は大学によって違うので、カリキュラムの説明で確かめておきましょう。薬剤師を目指すなら6年制の薬学科、管理栄養士を目指すなら管理栄養士の養成課程として指定された学科というように、学科の選び方が資格に直結する点にも注意してください。志望理由書に、実習で確かめたいことまで書けると、学ぶ順序を理解していることが伝わります。

  3. 三

    「人の役に立ちたい」を、特定の患者や場面にまで具体化しているか

    医療系を志望する人の多くが「人の役に立ちたい」「患者さんに寄り添いたい」と書くため、差がつくのはその先です。誰の、どんな困りごとを、どの専門知識で支えたいのかまで具体化してください。たとえば「部活の仲間が同じ足首の捻挫を繰り返している」「放課後等デイサービスのボランティアで、ボタンを留められずに着替えをあきらめる子に出会った」「糖尿病の父が、外食のたびに何を選べばよいか迷っている」のように、自分が見た場面と、そこで数えたり記録したりした事実から書き始めると、目指す職種の役割に自然につながります。病院見学やオープンキャンパスの体験授業で、専門職が患者にどう声をかけていたかを書き留めておくのも有効です。

医療系学部の志望理由書 例文3本

理学療法学科は祖母と通った地域の体操教室、薬学科は同居する祖父の薬の飲み忘れ、臨床検査技術学科は学校の心電図検査をきっかけにしています。3本とも敬体でまとめ、志望校は「貴学」と呼んでいます。

1

理学療法学科・総合型選抜(祖母と通った体操教室で、立ち上がりの時間を記録した経験から)

767 字

私は将来、理学療法士として、高齢の方が転倒を防ぎながら自分の足で歩き続けられるよう支えたいと考えております。そのために運動療法を学びたく、貴学保健医療学部理学療法学科を志望いたします。きっかけは、祖母が玄関の段差でつまずいて転んだことです。けがは打撲で済みましたが、それ以来「また転ぶのが怖い」と外出を控えるようになりました。スマートフォンの歩数計を見せてもらうと、1日の歩数は約3000歩から1000歩ほどに減っていました。高校2年の春からは祖母と一緒に、理学療法士の方が指導する公民館の体操教室に通い、月に1度、参加者14人が椅子から5回立ち上がるのにかかる時間を測る係を務めました。3か月後、祖母の記録は16秒から12秒に縮まり、一人で散歩に出られるようになりました。一方、14人のうち4人は記録がほとんど変わらず、メモを見返すと、4人とも膝の痛みを訴え、体操を休む日も多い方でした。膝に痛みがあっても、立つ・歩く力を保つには、どのような運動を選べばよいのか。この問いが、理学療法を学びたい理由です。教室では作業療法士の方が外出の計画づくりを手伝っており、その仕事にも関心を持ちましたが、私が知りたいのは、立ち上がりや歩行といった動作そのものを支える体の仕組みです。貴学を選んだのは、〇〇教授が膝に痛みを抱える高齢者の運動療法を研究されており、『△△演習』で筋力やバランスの評価を学生同士で繰り返し練習できるからです。入学後は解剖学と運動学を土台に、臨床実習で患者さんの状態に合わせて運動を組み立てる過程を学び、国家試験に臨みます。卒業後は病院で経験を積み、地域の体操教室で転倒を防ぐ運動を伝えられる理学療法士を目指します。一人で散歩に出た祖母のように、再び自分の足で出かけられる方を増やすため、貴学で学びたいと考えております。

800字・総合型選抜(理学療法学科)

この例文のポイント

  • 体操教室で14人分の立ち上がりの時間を測り、記録が変わらなかった4人に共通する膝の痛みに気づくまでを、自分で集めた数字で示しています。
  • 同じ教室にいた作業療法士の仕事と比べ、動作そのものを支える理学療法を選んだ理由を書き、職種の違いを理解していることを伝えています。
  • 教授の研究、学内の演習、臨床実習、国家試験を順に並べ、総合型選抜の面接で入学後の計画を問われても答えやすい形にしています。
2

薬学科・学校推薦型選抜(同居する祖父の飲み忘れを記録し、薬局に相談した経験から)

596 字

私は将来、薬剤師として、多くの薬を飲む高齢の方が正しく服薬を続けられるよう支えたいと考えております。そのために薬物治療を基礎から学びたく、貴学薬学部薬学科を志望いたします。きっかけは、同居する祖父の服薬です。祖父は2つの診療所から計7種類の薬を処方されています。高校2年の夏、毎晩、薬の残りを数えて記録すると、2週間で朝・昼・夕の42回のうち9回の飲み忘れがあり、うち7回は昼の分でした。この記録を薬局で見せると、薬剤師の方が医師と相談し、飲む時間ごとに薬を1袋にまとめる一包化に切り替えてくださり、次の2週間の飲み忘れは1回に減りました。医師が診断して薬を選び、薬剤師は、その薬が患者の暮らしの中で正しく使われるまでを見届けます。私が担いたいのは後者の役割です。この経験をもとに、保健委員会で、お薬手帳を1冊にまとめると薬の重なりを確かめやすいことを伝える掲示を作りました。薬剤師国家試験の受験資格が得られる6年制の薬学科で薬理学と薬物動態学を学び、病院と薬局での実務実習で、患者さんへの説明の仕方を身につけたいと考えております。貴学を志望するのは、〇〇教授が高齢者の服薬支援を研究されており、『△△演習』で模擬患者への服薬説明を繰り返し練習できるからです。飲み忘れを減らした一包化のように、患者さん一人ひとりの生活に合わせた工夫を提案できる薬剤師を目指し、貴学で学びたいと考えております。

600字・学校推薦型選抜(薬学科)

この例文のポイント

  • 2週間の記録で、飲み忘れが42回中9回、そのうち7回が昼の分だったと示し、薬局での相談と一包化の効果を数字で伝えています。
  • 診断して薬を選ぶ医師と、薬が正しく使われるまでを見届ける薬剤師の違いを、祖父の場面に即して書き分けています。
  • 祖父の経験を保健委員会での掲示づくりにつなげ、学校推薦型選抜で見られる高校生活との一貫性を示しています。
3

臨床検査技術学科・一般選抜(学校の心電図検査で精密検査を受けた経験から)

394 字

私は将来、臨床検査技師として、確かな検査で医師の診断を支えたいと考え、貴学保健科学部臨床検査技術学科を志望いたします。きっかけは、高校1年の学校の心電図検査で、精密検査を受けるよう言われたことです。病院で24時間の心電図を記録すると、約10万回の拍動のうち脈が乱れたのは32回で、治療は不要との説明を受けました。安心すると同時に、10万回分の波形からどう32回を見つけるのかに興味を持ちました。担当の臨床検査技師の方に尋ねると、解析装置が拾った候補を、技師が波形を一つずつ見て確かめていると教えてくださいました。医師の診断は、こうした確認の積み重ねに支えられているのです。貴学を志望するのは、〇〇教授が不整脈の検出方法を研究されており、『△△実習』で心電図の判読を、臨地実習で病院の検査業務を学べるからです。10万回の中の32回を見落とさない目を養うため、貴学で学びたいと考えております。

400字・一般選抜(臨床検査技術学科)

この例文のポイント

  • 約10万回の拍動のうち32回という自分の検査結果から、膨大な記録を確かめる技師の仕事へと関心が移る過程を書いています。
  • 診断する医師と、その材料となる検査の正確さを支える臨床検査技師の役割を区別し、臨床検査技師になりたい理由を明確にしています。
  • 400字でも、きっかけの数字、技師に尋ねて分かったこと、教授の研究と学内の実習、臨地実習を一つずつ入れ、学ぶ道筋を残しています。

※ 上記は例文です。教授名・授業名・エピソードはご自身の情報に書き換えてください。

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医療系学部の志望理由書でよくあるNG

一NG

「人の役に立ちたい」「患者さんを笑顔にしたい」で終わっている

この言葉は医師にも看護師にも薬剤師にも当てはまるため、その学科を選んだ理由の説明になりません。また、医療系学部の志願者の多くが同じ言葉を使うので、読み手には誰の文章なのか見分けがつきません。役に立ちたい相手と、その人のどんな困りごとを支えたいのかまで書いてください。

書き直し例

「人の役に立ちたい」で止めず、「インフルエンザにかかった弟が、薬局で吸入薬の吸い方を教わってから帰るのを見て、薬は正しく使えて初めて効果が出ると知り、使い方まで伝えられる薬剤師になりたいと考えました」のように、誰のどんな困りごとを支えたいのかを書きます。

二NG

「安定した資格職だから」「就職に困らないから」を理由にしている

国家資格を持つ医療職は、就職先を見つけやすいと言われることがあります。しかし、それを志望理由の中心に置くと、患者や医療への関心が見えず、長い実習や国家試験の勉強を続けられるのかという疑問を持たれます。資格の安定性は読み手も知っているので、その資格で何をしたいのかに字数を使ってください。

書き直し例

「一生使える資格だから」ではなく、「高齢者施設のボランティアで、飲み込む力が弱い方のために、管理栄養士の方が食材を軟らかくしたり、とろみをつけたりして献立を工夫しているのを見て、食べる楽しみを守る栄養管理を学びたいと考えました」のように、資格を使って取り組みたいことを理由にします。

三NG

家族の病気や入院の話だけで終わっている

家族の闘病や自分の入院をきっかけに書くことは問題ありません。ただ、病状の重さや看病のつらさの描写で字数を使うと、あなたが何に気づき、何を学びたいのかが伝わらなくなります。体験の説明は短くまとめ、その場で専門職が何をしていたか、自分が何を確かめたかに重心を移してください。

書き直し例

「祖父が脳梗塞で入院し、家族で必死に支えました」で終えず、「入院中の祖父が、作業療法士の方と持ち手を太くしたスプーンで食べる練習を重ね、自分で食事ができるようになったのを見て、生活の動作を取り戻す支援を学びたいと考えました」のように、見た事実と関心を書きます。

四NG

医療ドラマや漫画への憧れだけで書いている

医療ドラマや漫画をきっかけに職業を知ること自体は珍しくありません。ただ、作品の場面は演出のために脚色されていることが多く、「ドラマのように命を救いたい」と書くと、実際の仕事をまだ調べていないと読まれます。きっかけとして触れるなら1文にとどめ、そのあと自分で調べたり見学したりして確かめた事実を書きます。

書き直し例

「ドラマの理学療法士に憧れました」で止めず、「スポーツ選手の復帰を支える理学療法士のドラマを見て、高校生向けの病院見学会に参加すると、リハビリ室の患者さんの多くは高齢の方で、自宅のトイレまで歩くことを目標に練習していると知り、日常の動作を取り戻す支援に関心を持ちました」のように、自分で確かめた事実につなげます。

五NG

職業紹介や学科案内の説明を丸写ししている

「臨床検査技師は、医師の指示のもとで検体検査や生理機能検査を行う専門職です」のような説明は正しくても、読み手である大学の教員はすでに知っています。職業の定義で字数を使うと、あなた自身の考えが入る余地がなくなります。仕事の説明は、自分が見た具体的な場面を通して書いてください。

書き直し例

定義を書く代わりに、「健康診断の採血で、臨床検査技師の方が採血管を決まった順に替えていくのを見て理由を尋ねると、順番を誤ると検査の値に影響することがあると教わり、検査の正確さは採血の段階から始まると知りました」のように、自分の目で見た仕事の一場面を書きます。

よくある質問

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