スポーツ科学部・体育学部の志望理由書

スポーツ科学部・体育学部の志望理由書の書き方と例文3本

スポーツ科学部・体育学部の志望理由書で問われるのは、競技の経験や「スポーツが好き」という気持ちを、体の仕組みや運動の教え方、健康づくりについての問いにまで掘り下げられているかです。ここでは、審査で見られる3つの観点を示したうえで、総合型選抜(800字)・スポーツ推薦(600字)・一般選抜(400字)の例文と、「部活を頑張った」で終わる文章の直し方を紹介します。健康科学部やスポーツ健康科学部を受ける人も、同じ考え方で書けます。スポーツ推薦で書くこと、競技実績がない場合の書き方、体育教師やスポーツトレーナーを目指す場合の注意点は、よくある質問の章で扱っています。

スポーツ科学部・体育学部の志望理由書を3ステップで書く

  1. 1
    スポーツ科学部・体育学部の志望理由書は、競技や運動の中で「なぜこうなるのか」と引っかかった場面を1つ選び、自分で数えたり比べたりした事実から書き始めます。
  2. 2
    学部を選ぶ理由は、その問いがトレーニング・コーチング、スポーツ医科学、スポーツマネジメント、保健体育の教員養成、健康科学のどの領域につながるのかで説明します。
  3. 3
    志望理由書の後半は、入学後に学ぶ科目と実習、競技と学業を両立する計画、卒業後の進路を順に書き、最初に挙げた場面に戻って締めます。

このページが向いている人:スポーツ科学部・体育学部・健康科学部・スポーツ健康科学部などを受ける高校生のためのページです。スポーツ推薦で出願する競技者に加え、総合型選抜や一般選抜で志望理由書を求められた人、競技実績がない人も対象にしています。「部活を頑張った」から先が書けない人、保健体育の教員やスポーツトレーナーを目指していて、どの学部で何を学べばよいか迷っている人に役立ちます。

スポーツ科学部・体育学部の志望理由書で見られる3つのこと

スポーツ科学部・体育学部の志望理由書では、競技の実力とは別に、スポーツや運動を学問として学ぶ準備ができているかが見られます。次の3点は、スポーツ推薦・総合型選抜・一般選抜のどの入試にも、健康科学部を受ける場合にも当てはまります。

  1. 一

    競技の経験を「頑張った」「好き」で終えず、学問の問いに変えているか

    スポーツ科学部・体育学部は、スポーツや運動を、体の仕組み、動き方、心理、教え方、社会との関わりといった面から科学的に学ぶ学部です。そのため志望理由書では、「スポーツが好き」「部活を3年間頑張った」という気持ちの先に、学問の問いがあるかが見られます。練習を変えたらなぜ記録が伸びたのか、仲間はなぜ同じけがを繰り返すのか、後輩にどう教えれば動きが伝わるのか、といった問いです。大きな問いである必要はありません。自分で数えた回数、比べたタイム、撮影した動画など、確かめた跡を1つ添えると、競技の思い出ではなく、大学で学びたいことの出発点として読まれます。

  2. 二

    学部・学科の領域と、自分の問いが対応しているか

    スポーツ科学部・体育学部で学ぶ領域は、おおまかに次の5つに分けられます。練習の組み立てや指導法を扱うトレーニング・コーチング、けがの予防や体の仕組みを扱うスポーツ医科学、クラブやイベントの運営、用品やサービスの産業を扱うスポーツマネジメント・スポーツ産業、中学校・高校の保健体育の教員養成、運動による健康づくりを扱う健康科学です。同じ試合終盤の失速でも、筋肉の疲れに注目すればスポーツ医科学、選手交代の判断に注目すればコーチングの問いになります。自分の問いがどの領域にあるのかを1文で示してください。学部の名前と学べる中身の対応は大学によって違うため、募集要項やカリキュラムで、志望する学科やコースの内容を確かめましょう。

  3. 三

    競技と学業をどう両立し、卒業後にどうつなげるかを示せているか

    大学で競技を続ける人は、練習や遠征をこなしながら、講義や実験・実技の授業を受け、教員を目指すなら教職課程の科目も履修することになります。志望理由書では、高校で練習と勉強をどう両立してきたかを具体的に書き、入学後の時間の使い方の見通しを示してください。卒業後の進路には、教職課程を経て保健体育の教員になる道、資格を取ってトレーナーとして選手を支える道、スポーツ関連企業で働く道、地域や職場の健康づくりに関わる道があります。競技を続けたい人も、学んだトレーニングや体のケアの知識を、自分の競技や引退後の指導にどう生かすかまで書くと、その学部で学ぶ理由が伝わります。

スポーツ科学部・体育学部の志望理由書 例文3本

総合型選抜は、練習の終わりに崩れる仲間の着地をスロー撮影で比べた経験、スポーツ推薦は、未経験で入部した1年生にシュートを教えた経験、健康科学科は、父と始めた夕食後のウォーキングの記録を題材にしました。スポーツ推薦の例文は、県大会レベルの実績でも競技と学びの計画を両方示す書き方の例、健康科学科の例文は、競技実績がない人の書き方の例です。例文はどれも「です・ます」の敬体でそろえ、志望する大学のことは「貴学」と書いています。

1

スポーツ科学部・総合型選抜(練習の終わりに膝が内側に入る仲間の着地から)

787 字

練習の終わりになると、同じ選手でも着地で膝が内側に入りやすくなるのはなぜか。この問いを、体の仕組みと動作の分析から解き明かすため、貴学スポーツ科学部を志望いたします。きっかけは高校1年の冬、バスケットボール部の先輩が、試合終盤のリバウンドの着地で膝を痛め、半年間コートに戻れなかったことです。試合の動画を見返すと、着地の瞬間、先輩の膝はつま先より内側に入っていました。調べると、着地で膝が内側に入る動きは、膝のけがとの関係が研究されていると知りました。そこで、ほかの部員の着地も確かめようと、2年の春から、10人がジャンプから着地する様子をスマートフォンのスロー撮影で記録しました。練習の最初と最後に1人5回ずつ撮って比べると、膝がつま先より内側に入った着地は、最初の50回では7回でしたが、最後の50回では19回に増えていました。一方で、最初も最後も1回も内側に入らなかった部員が2人いました。2人とも着地で膝と股関節を深く曲げていましたが、それが理由なのかは分かりません。顧問の先生に記録を見せ、練習の後半にも着地の姿勢を見直す時間を3分設けてもらいましたが、それでけがが減るのかは、まだ検証できていません。貴学を志望する理由は、『△△実習』で、映像から関節の角度を測る動作分析の方法を学べることと、〇〇教授が、疲労と着地動作の関係を研究されていることです。入学後は、1年次に解剖学と運動生理学で体の仕組みを学び、2年次以降はスポーツバイオメカニクスとトレーニング科学に進みます。4年次の卒業研究では、疲れた状態でも膝が内側に入りにくい着地を身につける練習を考え、その効果を確かめる計画です。将来はアスレティックトレーナーの資格を取り、選手のけがの予防に携わることが目標です。膝を痛めた先輩のような選手を一人でも減らすため、貴学で体の仕組みから学びたいと考えております。

800字・総合型選抜(スポーツ科学部)

この例文のポイント

  • 書き出しを「練習の終わりになると、なぜ着地で膝が内側に入るのか」という問いにし、競技の経験を学問の問いに変えたことを最初の一文で示しています。
  • 練習の最初と最後で50回中7回と19回という自分で撮って数えた結果に加え、崩れなかった2人の違いを「理由は分からない」と正直に書き、面接で掘り下げやすい問いを残しています。
  • 解剖学・運動生理学からバイオメカニクス、卒業研究までを順に並べ、トレーナーという進路にもつないでいます。トレーナーの資格に触れる場合は、志望校でその資格に向けた課程を履修できるかを確かめてから書いてください。
2

体育学部・スポーツ推薦(未経験で入部した1年生にシュートを教えた経験から)

592 字

私は将来、保健体育の教員として、運動が苦手な生徒も「できた」と感じられる授業をしたいと考え、貴学体育学部を志望いたします。高校ではハンドボール部に所属し、2年の秋から主将を務め、3年の春の県大会でベスト8に入りました。部活動で最も考えさせられたのは、未経験で入部した1年生6人にシュートを教えたことです。「ボールを持ったら3歩までで打つ」と何度説明しても、多くが4歩目を踏んでしまいました。そこで、まずボールを持たずに手拍子に合わせて3歩で跳ぶ練習をし、慣れてからボールを持たせるようにしました。2週間後、シュート10本あたりの歩数の反則は、6人の平均で4.5回から1回に減りました。同じ動きでも、言葉で説明するより、動きを分けて順に練習するほうが身につくのはなぜか。体育の授業にも、初めてその運動に取り組む生徒が大勢いるため、この問いを体育科教育学やコーチング学で確かめたいと考えております。貴学を志望するのは、保健体育の教員免許を取得できる教職課程があり、『△△演習』で模擬授業を繰り返せるからです。〇〇教授が運動の苦手な生徒への指導法を研究されている点にも惹かれました。入学後も競技を続けながら、高校で練習後に毎日1時間の勉強を欠かさなかったように、教職課程の科目を計画的に履修いたします。後輩に教えた経験を、体育の授業で生かせる力に変えるため、貴学で学びたいと考えております。

600字・スポーツ推薦(体育学部)

この例文のポイント

  • 主将と県大会ベスト8という実績は1文にまとめ、残りの字数を、後輩に教えた経験から生まれた「どう教えれば伝わるのか」という問いに使っています。
  • 反則の回数が6人の平均で4.5回から1回に減った変化を数字で示し、部活動の工夫を体育の授業という教員の仕事へ結びつけています。
  • 入学後も競技を続けると書いたうえで、高校での学習の習慣と教職課程の履修計画を添え、推薦で入学しても学業を後回しにしないことを伝えています。
3

健康科学科・一般選抜(父と始めた夕食後のウォーキングの記録から)

398 字

私は将来、地域の健康づくりに関わる仕事に就き、忙しい人でも続けられる運動を提案したいと考え、貴学健康科学部健康科学科を志望いたします。運動部の経験はありませんが、高校2年の夏から、健康診断で運動不足を指摘された父と、夕食後に30分歩いています。最初の8週間の記録では、歩けたのは56日のうち31日で、歩けなかった25日のうち18日は、雨の日か、父の帰宅が夜9時を過ぎた日でした。そこで、そうした日は自宅の階段の昇り降り10分に切り替えると、次の8週間は56日中49日、運動を続けられました。運動が続くかどうかは、意志より、天気や時間といった生活の条件で決まる部分が大きいのではないかと考えています。貴学を志望するのは、『△△実習』で地域の人の運動習慣を調べる方法を学べ、〇〇教授が運動を続けやすくする工夫を研究されているからです。父との記録から生まれたこの問いを、貴学で深めたいと考えております。

400字・一般選抜(健康科学科)

この例文のポイント

  • 運動部の経験がなくても、家族の運動習慣を8週間記録した事実から、健康科学の問いを立てています。
  • 歩けなかった25日のうち18日が雨か帰宅の遅い日だったという分析と、切り替えた後の56日中49日という変化を数字で示しています。
  • 400字でも、将来の仕事、続けやすさという問い、志望校の実習と教員の研究を一つずつ入れ、なぜ貴学なのかを残しています。

※ 上記は例文です。教授名・授業名・エピソードはご自身の情報に書き換えてください。

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スポーツ科学部・体育学部の志望理由書でよくあるNG

一NG

「スポーツが好き」「部活を3年間頑張った」で止まっている

スポーツ科学部・体育学部を受ける人の多くは、何かのスポーツに打ち込んできた人です。そのため「好き」「頑張った」だけでは、ほかの志願者との違いが伝わらず、大学で何を学びたいのかも見えません。頑張った日々の中で、何に引っかかり、何を確かめたくなったのかまで書いてください。

書き直し例

「野球が好きで、3年間部活を頑張りました」で止めず、「ブルペンでは10球中7球入るストライクが、試合では5球ほどに減ることに気づき、緊張したときに投球動作のどこが変わるのかを確かめたいと考えました」のように、頑張った中で生まれた問いを書きます。

二NG

大会の成績や自己ベストを並べるだけになっている

成績や記録は努力の結果として書いて構いませんが、一覧にしただけでは、その結果から何を考えたのかが伝わりません。スポーツ推薦でも、志望理由書で読まれるのは、競技を通して何に気づき、大学で何を深めたいかです。記録は1つか2つに絞り、伸びた理由や伸び悩んだ理由を自分がどう考えたのかを書いてください。

書き直し例

「県大会100m平泳ぎ3位、自己ベスト1分15秒」と並べるだけでなく、「自己ベストが出たレースの動画で数えると、後半の50mは前半よりストロークが4回多いのに、タイムは5秒遅くなっていました。1回のストロークで進む距離が短くなる理由を、泳ぎの動作から分析したいと考えました」のように、記録から生まれた問いを書きます。

三NG

「プロ選手になりたい」「全国で活躍したい」だけで、大学で学ぶことが見えない

競技者としての目標を書くことは問題ありません。ただ、志望理由書は学部に宛てた文章なので、競技の目標だけでは、なぜ大学の、その学部で学ぶ必要があるのかが伝わりません。競技を続けたい人ほど、トレーニングや栄養、体のケアについて学ぶことを、自分の競技と卒業後の進路にどう生かすのかを書いてください。

書き直し例

「プロ選手になり、全国で活躍したい」で終えず、「プロを目指して競技を続けるため、3日続く大会の最終日に体が重くなる理由を知り、疲れから回復するための練習と休養の組み立てを学びたいと考えました。学んだことを自分の競技に生かし、引退後は指導者として選手の体調管理にも役立てたいと考えております」のように、競技の目標と大学での学びを結びつけます。

四NG

けがや挫折の体験を、感想や決意で終えている

けがで試合に出られなかった経験や、レギュラーを外れた挫折は、スポーツ科学部・体育学部の志望理由書でよく使われる題材です。題材にするのは構いませんが、「悔しかった」「支えてくれた人に感謝した」「心が強くなった」で終えると、大学での学びにつながりません。その体験の中で、体や練習について何に気づいたのかまで書いてください。

書き直し例

「けがで半年間試合に出られず、悔しさを乗り越えて心が強くなりました」で終えず、「太ももの肉離れから復帰した2か月後に同じ場所を再び痛め、復帰の時期を痛みがなくなったことだけで決めていたと気づきました。競技に戻ってよいかを何で見極めるのかを学びたいと考えました」のように、体験から生まれた問いを書きます。

五NG

「体育の先生になりたい」「トレーナーになりたい」だけで、資格への道筋がない

将来の職業を書くのは良いことですが、職業名だけでは、その学部で何を学び、どんな資格や免許を目指すのかが見えません。保健体育の教員を目指すなら、志望校に教職課程があるかを確かめてから書きます。トレーナーを目指す場合は、「トレーナー」が資格の名前ではないため、アスレティックトレーナーなど、目指す資格の名前まで書いてください。

書き直し例

「体育の先生になりたい」で止めず、「高校の保健体育の教員として、保健の授業で学ぶ睡眠や食事の知識を、部活動で疲れをためている生徒が自分の生活に当てはめられるよう教えたいと考えております。そのために、貴学の教職課程で保健体育の教員免許の取得を目指します」のように、目指す教員の姿と免許までの道筋を書きます。

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